占星術の知識は世界を理解するために役立つ

　占星術の知識をキイワードにすると私たち日本人にとって理解しにくい欧州、北米、 南米、中近東、インドなどの社会における文化、文明、歴史、伝統などを解読するこ とが容易になります。

　欧米の社会は、日本人が想像するほど現代的ではなく、いまだに中世を引きずって います。

　世界で一番新興宗教の多い国はどこだと思いますか、米国です。衛星放送を使って メッセージを伝えている教団もあります。米国は高等教育を受けている国民の率が非 常に高い国です。それでも中西部や南部のある地域では、学校教育で進化論を教える ことを事実上拒否しています。かつて、ＮＡＳＡには、ロケットを月に送ることは罰当りな 行為ではないと説得する仕事がありました。

　１９８２年にギャラップが行なった世論調査によると、米国人の一般成人を対象に無作 為抽出で選んだ１,５００人をサンプルにして「死後の世界を信じるか。」と質問したところ ６７％がＹｅｓ、２７％がＮｏと答えています。このとき同時に医者と科学者だけを対象に同 じ質問をしており、その結果は医者の３２％と科学者の１６％がＹｅｓと答えています。 　同じ頃、日本の統計数理研究所が行なった「日本人の国民性」調査によると、「あの世」 とか「来世」を信じている人は１２％でした。

　　　　＊日本人は米国の科学者よりも来世を信じて無いのです。＊

　米国人は米国には階級が無いと言いますが、現実にはＷＡＳＰが ある種の階級を作っています。欧州には米国以上に本物の階級があり、高等教育を受けて いる国民の率は非常に低いのです。平均的西ヨーロッパ人は米国人以上に来世を信じてい るはずです。

　 ＊なぜ、日本人だけが現世的、合理的に生きているのでしょう。＊

　私は、欧米および地中海沿岸の人々が理性だけでなく、宗教、夢、幻想、オカルト なども複雑に絡み合った社会の中で、なんとか合理的に考えたり実験したりした経験 の上澄みを整理して科学と呼ばれるものを成立させたのではないかと思っています。 　日本人は１９世紀に開国したとき欧米人を誤解したのです。これだけの科学を発展 させているのだから、欧米人は完全に開明的な人達なのだと。

　氷山のモデルで考えると、欧米社会は科学的合理的な部分を海上に浮かべながら、 その海面下に宗教、オカルト、迷信などを大きくもっているのです。 　日本人は海面上の科学を輸入するだけでしたから簡単に合理的になれたのです。 日本人は欧米社会の上澄みのエッセンスだけを学べばよかったのです。 煉金術と化学、星占術と天文学、宗教と科学などの葛藤は経験しないですんだので す。

　逆に言うと、このような葛藤がないので日本人は科学の基礎の種をまくことが不得 手なのです。 そのかわり、合理的なので開発や生産技術に関しては得意です。

　残念ながら、世界を動かしているのは、今のところ欧米人です。 　世界の動きを知るには彼らの考え方を知る必要があります。 　宗教学、民族学、社会学、政治学、経済学、歴史学といえども氷山の海上部分でし かないので、それらを教科書で勉強しても皮相的にしか分かりません。

　このことは、文学を教科書で理解することの限界から想像できるはずです。 この世界は公の教科書の知識だけで理解するには複雑過ぎるのです。

　欧米人および地中海周辺の人々の行動を理解しようとするとき、彼（彼女）らの文化 伝統や習慣を無視しては、その行動の顕在的もしくは潜在的な動機が分かりません。

　もっとも大切な文化伝統はオカルトに属する部分が多いので、学校や教科書で学ぶ ことは困難です。なぜなら、神秘は語ってはならないものであり、恐れやタブーとして、 人の心や民族の行動を支配するからです。夢や幻想、オカルト、秘密結社や占星術を 研究すれば、そのような謎を解明できることが多いのです。

　日常レベルでも、次のようなことが、それこそ日常茶飯事です。

　故ケネディ大統領の未亡人ジャクリーヌは、ギリシャの大金持の故オナシス氏と再婚 するときに、エーゲ海に浮かぶ島をひとつ贈られました。その島の名前が「スコルピオ島」 だったのは、彼女の誕生宮が天蝎宮（さそり座）[Scorpio; Scorpion]だったからです。

　女性に贈る誕生石は黄道１２宮の星座に対応しています。

　ホーム・パーティを主催する主婦は「今夜は金牛宮の人が３人もくるから、料理を多め に用意しなければ・・・・・」などと言います。

　政治や戦争のレベルでも占星術がかかわっていることがよくあります。

　第２次大戦中、ドイツのヒットラーは占星術師を使って戦略を立てることが多かったので、 それに対抗してイギリスのチャーチルも占星術師を雇ってヒットラーのうつ手を読もうとした のは有名な話です。

　元主席補佐官のドナルド・リーガン氏が、彼の著書「フォー・ザ・レコード（回想録）」の中 で、レーガン元大統領夫妻が占星術師を雇って政務のスケジュールを立てていたことを 暴露した話は有名です。
　この話には後日談があり、元大統領夫人のナンシーが彼女の著書「マイ・ターン（私の 番）」でリーガン氏に反論し占星術師の役割を低く書いたところ、当の占星術師がさらに 反論の本を書いて、政務のかなりの部分にかかわっていたことを公開してしまったこと です。
　この占星術師はジョーン・キグリーという名前の女性で、米国のいわゆる名門家庭に生 まれ、有名なバッサー女子大を優等で卒業しています。彼女の反論の書「WHAT DOES JOAN　SAY?」では、ナンシー夫人との間に直通電話をもっていたことまでも書いています。
　さらに、面白いのは旧ソ連のゴルバチョフ元大統領側も、この占星術に気がつき米ソ会 談で対抗策を講じていたことなども書かれています。

　以前、日本が微妙な立場に陥った湾岸戦争では、イラク側の行動は占星術的にはかな り興味深いものでした。１９９０年８月１６日号の「ニューズ・ウィーク」によると「イ ラクのサッダム・フセイン大統領は、自分は古代バビロニア帝国の皇帝ネブカネドザルの 生まれ変わりだと信じている。」と報じました。 占星術はこの古代バビロニアから発生 したものです。

　１９９０年の７月２２日には日食が起き、８月６日には月食が起こりました。 　この７月２２日の日食から８月６日の月食に至る期間にフセイン大統領は機敏に行動し てクウェートの乗っ取りに成功したのです。　特に、８月２日午前２時には、天上の木星が サッダム・フセインの誕生ホロスコープの冥王星と合になりました。彼にとって、これは進 撃のサインと考えられたはずです。

　以上のように、占星術は日本人にとっては占いに使うよりも、欧米およびイスラムの世 界のビヘイヴィアを予測したり、解明したりする道具として役立つのです。

　実は、日本でも石原慎太郎氏の著書「巷の神々」に書かれているように、政財界の人々 が東洋の何とか師という人物に相談して行動を決定することがよくあります。

　故池田隼人首相は、重要な国家行事は必ず暦の「大安」で、しかも末広がりを示す「八」 の日に行ないました。
　私達の日常生活でも結婚式は大安の日が選らばれています。

　最後に、私はケプラーの言葉が好きです。彼は、

「天文学は賢い母、そして占星術は愚かな娘だ；だが娘の居ることが母親の生活には必要 だった。」

と言ったのです。

　この文章は, バブル全盛の頃に書いたものなので、日本人の意識も変わってきています。 　最近の日本人はオカルトや新宗教や臨死体験などの情報を得て、若い人たちが中心に なりますが、欧米人と同じくらい来世を信じる人が増えてきました。

White Anglo-Saxon Protestant;　白人でアングロサクソン人種で宗教がプロテスタント